第1章 最悪最凶
「行ってきます。」
いつも春樹は、行きも帰りも送ってくれる。なので、バイト先では私の彼氏だと思っている人がほとんどなのだ。
「さっきの話なんだけどさ。」
「あ?」
「もしも、他の人とヤってたら、どうする?」
興味本位で聞いてみた。特に深い意味はなかった。
「そいつを殺してた。」
「…え!?は、犯罪だよ。」
「だとしても、お前の初めては俺じゃねぇとやだ。」
「っ…!」(な、なんですか…それ…。やだ……やだって…!)
ジワーっと顔が熱くなっていった。
「で、でも、春樹の初めては私じゃない…じゃん…///////」
「……初めてが良かった?」
私の顔を覗きこんでそう言った。
「べ、別に!も、もう着いたから行くね。ありがと、バイバイ!///////」
はずかしくなり、走ってお店に入った。私が働いているバイト先はドラッグストア。髪染めもピアスももちろんしてはいけない。
「い、いらっしゃいませ。」
必ずバイトを始める前に、朝礼。というものがある。連絡事項などを伝えるためにするもの。それが終わり、レジに入った時だった。春樹が買い物をしに来た。それは別に良いのだけれど……。
「…」(なんで買うものが……ゴム!?)
そう、男女でするあの行為で、男の人が付けるあのゴムを買っていたのだ。
「何?」
「…別に…。」(誰かとヤる気なんだ…。)
いつも平気な顔をしてきた。春樹がどんな女の人と絡んでいようが付き合おうが。でもこんなあからさまなことをされると…かなりのダメージをくらう。