第4章 すりー!
祭「真白ー! あんた何やからしたの!?」
『え、や、やらかす?』
朝、いつもと変わらず兄弟たちと登校して来た私だが、教室を開けた途端、血相を変えて駆けつけて来た祭は勢いよく私の両肩に手を置いた。
そんな祭の隣、難しそうな顔をする瑞希もいる。
『な、なにごとであるか?』
祭「ねぇあんた!! 美浜(みはま)先輩から呼び出しくらってるよ!」
『みは、ま先輩?』
目を見開いてこちらを見る祭だが、私は目が点になる。
えっと……誰だっけ?
瑞希「おいおい、まさか知らない訳じゃないよな? 2年次にいる不良グループの男だよ。」
『えっ? ん?……あ!あの美浜先輩!?』
瑞希・祭「そう!」
瑞希の付け足しでわかった。
美浜先輩というのは15人を1人で相手にしたところ、なんと皆病院送りにしてやったという伝説を残す人だ。
喧嘩上等、誰でもかかって来い姿勢の美浜先輩が……
待って待って、そんな人が何故私に!?
祭「朝、美浜先輩がこの教室に来たんだよ! そしたら真白が登校して来たら屋上に来させろって言って来てさ!!」
『私を屋上に!? 待ってよ、状況が理解できないよ!』
瑞希「だろうな、俺たちも意味わからねぇよ。お前あんな不良グループと接点ないだろ?」
『うん! もちろーー』
もちろんって言いかけた所で、私は動きを止める。
何故なら高遠さんの存在を思い出してしまったから。
祭「真白?」
おーまいがー! 接点バリバリあるではないか。
絶対これ高遠さん関連だよね!
いや、それは間違いない。
祭「行ったら何されるかわからないし、行かずに今日はー」
『そうね、休みたい所だけど。ちょっと屋上行って来る!』
祭「は!?」
大きな瞳が私を見る。
多分私を思っての善処を言ってくれたんだろうけど、私には行かなくちゃならない。
きっと休んだってどのみち後がないし、仮に兄弟に矛先を向けられても困る。
だから私は行かなきゃ!
祭の腕をどこかし、そして廊下に出ようと踵を返した刹那、
瑞希「お前を行かせられるかよ」
腕を掴んだ瑞希が私を見下ろす。