第11章 つくばねの… 〔三日月宗近/R18〕
「宗近さん、よろしくお願いします」
ちょっと頭をさげる雅に俺も軽く頷き部屋を出る。
いつから雅は、俺を『宗近さん』とさん付けで呼ぶようになったか。
「むねちか」と呼んでまつわりついていたのに、気付いたら名前はさん付けで呼ばれるようになり、朝から晩まで俺にくっついていたのが、そうしなくなった。
他の刀剣たちと仲良く話している姿も見掛けるようになり、雅からすっかり距離を置かれるようになった気がして、何となく俺は心にもやもやしたものを抱えるようになっていた。
雅にしてみれば審神者であるし本丸の主として、俺だけでなく他の刀剣たちとも仲良くしておくのは当然だ。
それでも何故か時々、彼等を仲良くする雅の姿を見掛けると、ずたずたに切り裂いてしまいたくなる思いが沸き起こる。
今迄こんな感情を持った事がない俺は、内心この思いを持て余しながらも、表面上は笑みを浮かべて毎日を過ごしていた。
ある日、廊下を歩いていると聞こえてきた会話。
「最近、主は清光と仲が良いよね」
「言われてみれば清光も懐いてるよな」
「主も清光の前じゃ、自覚はしてないもののおんなの顔になってるぞ」
「ふぅん、じゃ、清光なのかな、主の最初のやつ」
「最初?ああ、俗に言うおとこを知らない処女とかいうやつに、相手をするのが、か」
「つぅか、まだ主は処女なのか」