第10章 変わった出陣 〔へし切長谷部/燭台切光忠〕
「おつかれさま、とにかくまず本丸に戻りましょう」
そして主と俺たちは本丸へ戻る。
俺たちがその場から消えた瞬間に時が動き出し、目の前に居た俺たちが消えたものだからおんなたちの間でパニックが起きたらしいが、それは俺たちの知る由もない。
「あにめじゃぱん?いべんと?」
本丸に戻ってから主に説明された言葉は、意味不明なものだった。
「えーと、だからね、先程行った時代の人たちが産み出した、架空のキャラクターに会える場所なの。貴方がたを囲んだ人たちはその架空の世界のキャラクターが好きな人たちで、貴方たちはその架空のキャラクターと間違えられたって事」
「何かわかったようなわからないような…」
光忠が首を傾げるが、俺もはっきり言って意味がわからない。
「ううーん、ごめんね、上手に説明出来なくて。でもびっくりしちゃった。まさかアニメのイベント会場が行き先になっていたなんて思ってもみなかったから」
「わからないけれど、確かにいつもと勝手が違ってかなり戸惑ったよね」
光忠の言に俺も同意する。
「あはは、そうだよね、あれはかなり特殊な世界だからね。だから時を止めないと、戦えないと思ったんだけど正解だったわ」
主はそう言ってカリと人差し指で頭をちょっと掻いた。
「ま、とにかく面倒なところへの出陣、おつかれさまでした。ゆっくり休んでくださいね」
主から改めて声を掛けられ、光忠と俺は主の部屋を出た。
妙に変な出陣だった、と俺たちの認識はひとつだった。
<終>