第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕
その場所に到着すると、既に何人かの生徒が倒れうめいていて、その前に時間遡行軍が目を光らせてマジカルペンを手にしていた。
「マジカルペンが…」
ラギーが魔法を発動させ、マジカルペンを放り出させようとするものの肥前が止める。
「やつらには魔法は効かない。使うだけ無駄だ」
カチリと肥前が時間遡行軍の前に立ち、姿勢を低くして抜刀すると目の前の打刀が腹からふたつにわかれ消え去る。
「うえ、あんまり見た目良いもんじゃないっスね…」
血しぶきが飛び肥前に血がかかった姿に、ラギーが顔をしかめるがフロイドのスイッチが入る。
「へぇ、楽しそうじゃん。オレも遊んじゃおっかなあ」
フロイドがのそりと肥前の近くに立つが、肥前が舌打ちして叫ぶ。
「おまえたちの素手で倒せる相手じゃねぇ、近寄るな!」
しかしフロイドはそのまま軽く走ると、一番近くにいた遡行軍の脇差の攻撃を一度避け、長い脚で脇差のからだを蹴り上げた。
「ほーら、軽い軽い…え?」
蹴りでたいていのヒトは吹っ飛ぶが、遡行軍はそうはいかなかった。
むしろフロイドの脚は遡行軍に掴まれ、そのまま振り回され全身ふっ飛ばされたのはフロイドのほうだった。
「おいっ、フロイドっ」
レオナが叫んで飛ばされたフロイドの許へラギーと駆け寄る。