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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕


「っ…おぃ…」

肥前は前回と違いほうきで疾走するフロイドに、速度をゆるめてくれ、と頼もうとする。

しかしフロイドは楽しいスイッチが入ってしまい、ラギーとレオナを追い掛ける。

「おい、ラギー。あいつ思った以上に速いな」

それでもほうきに立ったまま、綺麗にバランスを保ってレオナは飛ぶ。

その近くをほうきの柄にまたがったラギーもシシと笑う。

「ほんと、すごいっスね。マジフト部に勧誘しますかね」

「あいつはいらん。あいつひとりに引っかき回されそうだ」

飛びながらしかめつらを見せるレオナに、ラギーはそれもそうかと思いちらりと後ろを振り向く。

「わっ、レオナさん、右に避けて」

ラギーが叫ぶと同時にレオナのほうきが右に方向をずらすと、レオナが進んでいた場所にフロイドのほうきが突っ込んできた。

「逃げないでよぉ」

もう、とほおをふくらませるフロイドの後ろで、肥前は既にぐんなりしつつ、それでもしっかりほうきは握っているのにラギーは気付く。

「フロイドくん、後ろ、後ろ。ヒゼンくんが死にそうっス」

「んぇ?」

ラギーに言われてようやく後ろを見やるフロイドは、すぐ後ろで青い顔をしてほうきにまたがる肥前に気付いた。
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