第46章 肥前、捻じれた世界へ行く 〔肥前忠広〕
「おれが違う世界へ行ったのは、主の考えとして時間遡行軍が異世界からここへ移動してきて、おれがその移動の通路か何かに誤って入り込んでしまった、ということか?」
「うん、そう。勿論憶測でしかないけれど、でも今回の事を考えると合致するんだよね」
ところで、と雅はくるりと表情を明るいものに変える。
「異世界ってどんなところだったの?」
「あぁ…別にこの世界と変わりはないが…魔法が使える世界だった」
わぁ、と雅は驚き、興味深々に聞く。
「魔法?どんな魔法?肥前さんは魔法を見たの?」
「あぁ…見たというか…ほうきに乗って空を飛んだ」
肥前の答えに雅はうらやましがる。
「えぇー、ほうきに乗って空を飛んだ!いいなぁ、いいなぁ、私も乗ってみたかったなぁ」
「いや…あまり気持ちの良いものではなかったが…まぁ、乗せてくれたやつがなかなか変わっていて面白いやつだったが…」
その答えに雅は目を丸くする。
「え…肥前さんが他のひとの事、あれこれ言うの珍しいね。どんな人だったの?ほうきに乗せてくれた人?」
「おれが行ったところは何とかっていう学校で、変な仮面を付けた黒ずくめのおとこが学園長だった。その学校の生徒でフロイドとかいうやつが、おれに魔法を体験させてくれると言って…」
「はぁ!?」
肥前の話しを遮って雅は叫んだ。