第46章 肥前、捻じれた世界へ行く 〔肥前忠広〕
目を開けた時、そこは今迄俺の知る場所とは全く違うところだった。
「…どこだ、ここは?」
起き上がり周囲を見回すものの、見知った場所では無し、更に言えば俺の知る国とは建物の作りが明らかに違っていた。
「おやおや…どちらさまでしょう?」
音もなく突然話し掛けられ、声のする方向を探ると、すぐ近くの木の上に黒づくめの男が立ってこちらを見下ろしていた。
「…ここはどこだ?」
知らないやつに答える理由は無く反対に問い掛けると、黒づくめはあっさりと名乗った。
「私ですか?私はこのナイトレイブンカレッジの学園長、ディア・クロウリーです。お見知りおきを」
ナイ…?クロ…?
俺の知る名前とは全く違う場所と名前に、俺は思い切りまゆをしかめた。
俺のその表情を見て、学園長とやらは立っていた木の上からふわりとこちらへ飛び、俺の目の前に降り立った。
「驚いているようですね、こちらへいらしたのは初めてですか?」
「驚くもなにも、こんなところ、俺は知らない。いったいここはどこなんだ?」
「おや、当学園をご存知ないですか?」
なんというか馬鹿にしたような言い方が俺は気に入らず、黒づくめに仮面まで着けた胡散臭いおとこを俺はむっとしたまま無言で見上げていた。