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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第44章 ××しないと出られない部屋その3 〔五虎退〕


「五虎退くん、起きよう?」

「…うぅ…ん…あ、る、じさま…」

起こすと途端に声を発したので、五虎退くんが目を覚ましたのかと思ったけれど、まだ夢の中らしかった。

「ぼく…はや、く…おおき、く…なります…」

うんうん、可愛い寝言だなぁ、と思って寝顔とともに、起こす手を止める。

「…まっ…てて…くださ、い…ぼく、の…あるじ…さま…」

可愛い最後の言葉に固まってしまう。

ぼくの?ぼくのって言ったよね?これはいったいどういう意味なんだろう?

考えて、まぁ、この場合、打刀や太刀みたいに大きくなりたいんだろうな、と思う。

なぜなら普段おとなしくて主張しない五虎退くんだから、こういう時に自分が心に思っているものが出てしまったのだと思うから。

でも…もし…この言葉が違う意味ならば…

でも残念ながら私は刀剣男士たちには、彼等に特別な感情は持てないでいる。

審神者として彼等に邪心は持たず、彼等に守ってもらうことを当然と思わない。

職務を忘れて闇落ちする本丸にはしたくない、と自身に決めたから。

だから、五虎退くん、起こそうと思ったけれど、虎さんとゆっくり寝ていていいよ。

今夜もきっと出陣要請が時の政府から来る。

そうしたら貴方にも出陣してもらい、時間遡行軍を倒してもらわなくてはならない、から。


<終>
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