第43章 GREEN 〔石切丸/R18〕
「ありがとう」
そう言って石切丸さんは熱いお茶を口元へ運び、「あつっ」と小さく言いながらもひとくちすすった。
「うん、主が淹れてくれるお茶は美味しい」
にこにこしながらそう言ってくれる様子に、自分の心が少しどきりとする。
「石切丸さんは…」
私が口を開くと、「ん?」とこちらを向いて話しを聞いてくれる。
「…何を祈祷していたのですか?」
「あぁ、祈祷というか天へのお礼、かな」
「天へのお礼?」
私は意味がわからずきょとんとする。
「作物がよく育つのは天が日光と適度な雨を降らせてくれるから、なのは知っているね。だからそれに対してのお礼をしていたんだよ」
言われてみればこの本丸に来てから、天候のせいで作物が駄目になった事はない。
私がそれを言うと、石切丸さんは大きく頷いた。
「それは私の祈りだけではないよ。皆の行いが良いからだろうね」
柔らかい微笑みを浮かべる石切丸さんは、近くにいると包まれるようで安心する。
でも、そういう事を審神者である私が言うと、きっと男士は平等にして扱って欲しい、と困った表情をするんだろう、と想像出来る。
穏やかで優しい石切丸さんはそういう男士だから、私は何故か惹かれるのだ…