第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
俺と雅の事は、どういう訳か他の男士たちにそのうち気付かれていた。
「主を泣かせたら許さんぞ」
長谷部がギリギリと歯ぎしりしそうな勢いで俺に忠告してきたから、俺もむかっ腹で答えてやった。
「あぁ、泣かせねぇよ。俺に任せろ」
この時の長谷部の顔、悪いが見ものだった。
反対に雅は男士たちからほわほわと祝われているらしい。
おまけにすっかりこれを機に他の男士たちともうまく話せるようになったらしく、緊張した表情だけから笑顔が見られるようになったと男士たちからも喜ばれているから、何がヒトを変えるかわからないもんだな。
前の優秀だった審神者から引き継いで、自信なさ気にやっていた雅はそれでも徐々に自信をつけ、霊力を俺たちに送る時の様子も落ち着いて貫禄をつけていた。
「私、同田貫さんとこういう風になれて…嬉しいです」
俺たちだけの時、よく雅は言う。
「同田貫さんはだいぶ錬度も上がりましたし、これから出陣する機会が増えますけれど…」
一度言葉を区切り、そして俺をまっすぐ見つめると言った。
「折られず、必ず戻ってきてくださいね。何があっても私が必ず助けますから」
当たり前だ、俺をどんな刀だと思っている。
俺がそう言うと、嬉しそうに雅は笑顔を見せる。
あぁ、俺は戦うための刀だが、あんたの為にどれだけ重傷を負っても戻ってくるから、だから、俺のためにその笑顔をいつも見せてくれ。
<終>