第38章 愛も、戦いも、そして笑顔も。 〔同田貫正国/R18〕
ほんのり頬を赤く染めながら、近侍と審神者の浮わついた話しをするものの、自分は恐れ多いと他の審神者と同じ事は望まない雅に俺は肩をすくめた。
審神者と刀剣男士がどうこうなるなんて俺には関係ねぇ。
俺は立ち上がりながら「話しは終わりなら、俺は鍛錬に行くが良いか?」と聞く。
雅は慌てて「あ、引き留めてしまってごめんなさい、どうぞ行ってください」と返事をしたので、俺は審神者の部屋を出た。
「…近侍と審神者が…ねぇ…」
何とはなしに廊下を歩きながら呟くと、すぐ近くにいたらしい、加州清光に話し掛けられた。
「長谷部と主がどうしたの?」
「あ」と俺は話し掛けられた事に瞬間驚くものの、加州の質問の意味を理解する。
「いや…主が、審神者と近侍がいわゆる恋愛感情とやらを持つと聞いたんだが、ここはそういう事は無い、と主が言っていたがな」
「うちの主がそんな事言ってたの?あぁ、でも確かにそう思ってもおかしくないかもね」
俺がまゆをしかめているのを見て、加州は教えてくれた。
「この本丸の事はどれくらい知っているかわかんないけど、前の主は男性だったし、長谷部は堅物だから真面目に仕えてたよ。だから長谷部は今の主の近侍になっても、その時のペースを崩さない。だから、今の主と長谷部がどうこうなるのは考えにくいかな」
そして加州は俺を全身眺めるようにして問うた。
「ねぇ、今の事、主が直接同田貫に言ったの?」
「ん?あぁ、そうだが」
「ふぅん。やっぱり自分で顕現させた刀には心を開きやすいのかな」