第7章 回想抄その1 〔加州清光/大和守安定〕
「沖田総司って新選組の、だよね?」
私が聞き直すと、目の前の大和守安定と加州清光は頷いた。
二人が新選組の沖田総司の刀だと知ったのはたった今。
勿論新選組は知っていたけれど、刀まではさすがに知らなかった。
「へえ、そうなんだ。沖田総司って私には本やドラマの人でしかないからなぁ。どんな人だったの?天才剣士って言われてたけれどそうなの?」
私がちょっと身を乗り出して聞くと、安定が嬉しそうな表情で教えてくれる。
「沖田くんは優しくて剣の才能もあって、ぼくは大好きでした」
「へぇ。小説ではこども好きって書いてあったよ?」
これには清光が答える。
「うん、よく近所のこどもたちと遊んでたね、沖田くん」
「二人は沖田総司が大好きだったんだね」
私が二人の嬉しそうな表情を見ながら言うと、二人とも頷く。
「うん。俺たち、刀としては扱いにくいんだけど、沖田くんはそんなの気にせず、俺たちを愛刀してくれた。だから俺たちは沖田くんに応えたいと思いながら一緒に出動していたんだ」
「そっか…私は刀の事はわからないから、二人が扱いにくいって言われても全然わかんない。でも沖田総司っていう最高の遣い手に大事にしてもらえて良かったね」
「うん。沖田くんは最後労咳(ろうがい=結核)で倒れてしまうけれど、ぼくたちに自分の信念を貫けって教えてくれたんだ」