第37章 とある本丸がとある本丸になる前に 〔堀川国広/R18〕
当本丸の審神者は珍しく男性だ。
男性には珍しく端正な美貌をもち姿もすっきりと見目が良いため、演錬に行くと女性審神者がよく群がっていると聞いている。
と言うのも、ぼくは顕現して日が浅いため、まだ錬度が演錬で対戦出来る程訓練出来ておらず、まだまだこの時は本丸で留守番をしている。
ある日また主が主要六振りを連れて演錬へ出掛けて行った。
「堀川、いつもの通り悪いが留守番を頼む。おいしい土産を買ってくるから期待していてくれ」
「はい、いってらっしゃい。お気をつけて」
そう答えて手を振って彼等を送り出し、残った他の男士と本丸の中の事を教えてもらいながら日々の生活をこなしていくのが日課だった。
「あれ、こんなところに扉が?」
掃除を頼まれた部屋に入り、隠されたようなところに扉があるのに気が付いた。
この部屋の掃除を頼まれたのはぼく一人。
開けてはいけない、と言われていないし、押し入れなのかなと扉を開ける。
「階段…」
下、つまり地下へ向かっての階段が目の前に現れ、横にある電気を点けると階段の終わりにまた扉が有るのが目に入った。
「何だろう?」
好奇心が勝り、ぼくはそっと地下へ降りて扉を開けた。