第33章 すいーつ王子の甘い指導　〔小豆長光／R18〕

そんな薄くて小さいものを小豆が何枚も焼き、その間頼まれて主はジャムと泡立てたホイップクリームを挟み込んでいった。

「たくさん出来たね」

最後の一枚にクリームを挟み終え、たくさんの菓子の出来に小豆も微笑む。



「きみが手伝ってくれたから早く終わったのだ」

小豆が使った道具を洗いながら主に礼を伝え、審神者は隣でその洗ったものを拭きながら「そんなこと、ないよ」と少し照れていた。

「小豆、おなかがすいたのだぞ」

二人で片付けているところへ、謙信景光がやってきて小豆に声を掛ける。

「あ、謙信。これを持って行きなさい」

ちょうど良かったと言わんばかりの謙信の登場に、出来たての菓子を盛った器を謙信に渡す。

「わぁ、おいしそうだ。これはもしかしたら主も作ったのか？」

何故手伝ったのがわかったのだろう、と思いつつ主は頷く。

「うん、手伝ったよ。どうしてわかったの？」

「小豆はスイーツを作る時はたいてい一振りで作る。手伝いは必要としない事がほとんどなのに、主が横に居るということは主も手伝ったのかわかったのだ」

謙信はそして小豆へ顔を向け、にっこりと可愛い笑顔を浮かべて言った。

「良かったな、小豆。顕現してからしょっちゅうぼくに『主が可愛い』と言っていたのだから、こうして一緒にいられて」

途端、小豆の顔が耳まで赤くなるのを、横にいた審神者はしっかりと見てしまった。