第32章 夜を独り占め 〔膝丸/R18〕
顕現してヒトのからだにも慣れた頃、男女の睦み事を耳にするようになった。
「刀剣男士専用の風俗とやらが有るんだって?」
「時々万屋に行くと言って出掛けて、数時間帰らない男士がいるだろう?そういう時は大抵そこさ」
「圧倒的に男士のほうが人数が多いだろう。女性審神者もそこそこ居るといっても全員の相手はしていられないから、そういうところが出来たんだってさ」
「俺たち相手の風俗ってどういう女人が相手をしているんだ?」
「そう言えば行った事のあるやつら、何も言わないよなぁ」
「なんだ、おまえ、行ったことないのか?」
「そういうおまえこそどうなんだよ」
本丸の審神者の執務室の前で、そんな事を話しながら歩いている男士たちの会話を耳にした当本丸の審神者は、明らかに顔を赤くした。
どうもここの本丸の審神者はまだオトコを知らないらしい。
「どうした?顔が赤いぞ」
俺が小さく息を吐いて頬杖をついて聞くと、一瞬からだを硬直させた主はゆっくりとこちらを見た。
「…なんでもないです」
何でもないって顔かなぁ、明らかに今の会話を気にしたって顔をしている。
俺はずばり聞く。