第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「貞ちゃん、万屋へ行くけれど一緒に行くかい?」
燭台切光忠が、部屋で主からもらったという漫画雑誌を見ている太鼓鐘貞宗に声を掛ける。
一緒に行こうと言うのは、つまり、荷物持ちを手伝って欲しいこと。
「アイス、付いてくる?」
状況を理解している太鼓鐘は、手伝うからアイス買ってくれる?とおねだりし、燭台切もそうくるのは重々承知していており頷く。
「うん、貞ちゃんが手伝ってくれるならね」
「おっし、じゃ、行く」
手にしていた雑誌をぱん、と閉じ、太鼓鐘は髪についている羽飾りを揺らしながら立った。
「今日は何を買うの?」
歩きながら燭台切に問うと、いたずらっぽい笑みを浮かべて言う。
「これ、誰にも言っちゃ駄目だよ?主がハロウィンの支度をこっそりしていてね、飾りを用意して欲しいって頼まれたんだ」
「ハロウィン?あぁ、でかいかぼちゃのお化けのやつか」
太鼓鐘は気付き、そして聞く。
「でもどうして俺たちに頼むのかな。近侍の加州たちに頼めば良いのに」
燭台切は愚痴のような太鼓鐘の疑問に答える。
「加州くんたちもハロウィンの別な準備で動いているよ。ぼくは今日非番で、その準備をしているところにちょうど通りがかったから、万屋まで頼まれたんだ」