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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第26章 小さな愛を育つ 〔山姥切国広〕


少女の殻を抜け出した頃の主は、言い方は悪いけれど、さかりのついた雄猫を嫌う、雌猫そのものだった。





「最近、主さん、機嫌悪いよねぇ」

ある日、お菓子を食べながら乱が言うと、他の短刀たちも頷いた。

「言われてみれば、話しかけても『うん、わかった』『そうして』って呆気ない態度だしね」

「ぼくたちが嫌いになったのかなぁ」

五虎退が泣きそうな顔をして言い、一期一振が慌てて慰める。

「そんな事は無いですよ、主もお忙しくてみんなに構えないだけでしょう」

「それなら良いんだけど…部屋からもあまり出てこないよねぇ」

確かに審神者としての仕事をする部屋と自室の往復だけで、ほとんど他の部屋には行かず、食事も運んでもらって部屋で食べているため、会わない刀剣とは全く会わない状況となっていた。

「主さまの笑顔、見たいですね」

前田と平野も顔を見合わせて小さくため息をついていた。

これでは刀剣たちの士気が下がり、遠征や演練でも成果をあげられなくなってしまう。

初期刀の俺としては、何とかしなくては、と直談判をする事にした。



「主、今、いいか?」

思い立ったら吉日、という事で、俺はその日の夜に執務室へ声を掛ける。
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