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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第23章 白き鳥の愛夢 〔鶴丸国永/R18〕


「はくちょう座」

主が指差す空に、大きな十字型の星が見えている。

「はくちょう座?」

俺がおちょこの酒を飲み干しつつ聞くと、主はこっくり頷いた。

「はくちょう座の一等星デネブ、こと座の一等星ベガ、わし座の一等星アルタイル。この三つの星をつなげて夏の大三角形と呼ぶんだよ」

俺のおちょこに酒を注ぎながら主はそう言い、持っていたとっくりを置いてから、三つの明るい星を指さした。

とは言ってもこの本丸周辺は何も無く、星は満天に見えているため、夏の大三角形と言われてもなかなかどれかわかりにくい。

「主が空の事に詳しいなんて驚きだな。陰陽師の修行でもしたのかい?」

俺がからかうように言い、主はそれを聞いて頬を膨らませる。

「そんな修行はしていないのは知っているでしょう?審神者って言っても、私の能力は普通レベルしか無いし、ほんの少し前まで普通の生活を送っていたんだよ?それ迄聞いた事も無い審神者なんて職業を耳にして、その仕事を了解したらあれよあれよと転職が決まり、そしてこの本丸に派遣されたのは鶴丸さんだって知ってるでしょ?こんな状態で本丸に来たから難しい事は何にもわかんないし、今だってマニュアル見ながら審神者の仕事をしている状況なんだから、陰陽師の修行なんてしてる暇ないよ」

そう、ここの主はたまたま審神者の仕事に応募したら適正有りと診断され、ろくに審神者の仕事を知らないまま本丸に来てしまった、いわゆる普通のニンゲンだ。

だから現世の生活は知っていても、審神者としては全く初心者で、俺たちが順番で近侍となって面倒みながら、審神者として成長していってもらっている。
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