第22章 いつか竜宮城へ 〔浦島虎徹〕
「また寝癖ついたら直してくれる?」
腕を掴まれ振り返ると、そこには少年だけれど真剣な表情をした浦島がいた。
「う…うん、それくらいはいつでもいいよ」
私はその浦島の様子に耐えられなくて、早く離れたくて髪の毛を直すのを約束する。
「やった、絶対だよ、主さん」
またいつもの浦島に戻ってようやく手を離してくれた。
「じゃ…失礼しました…」
ペースを乱されて動揺してしまった私は、逃げるように浦島の部屋から離れた。
こどもだと思っていたけれど、先程掴まれた手も案外おおきかった、と改めて浦島はおとこなのだと思わされた。
彼は脇差だから今より大きくはならないけれど、時々他所の本丸で起こるバグによって、刀の大きさが変わる事がここでも起きて、浦島が打刀や太刀並みの青年になって表れたら。
私は自分と浦島の関係性が変わってしまうようで。
それだけはならないように、と心から望むのだった。
しかし、そう思う程、何故かそのようになってしまうのを後で気付く事になる。
竜宮城を探す浦島から、私が乙姫だと言われ切な気に見つめられる。
数時間の事だから、深みにはまってはいけないのはわかっているけれど。
その時の私と浦島は、竜宮城へ旅立ち、快楽を求めてしまうのだ。
私たちがそうなるのは…そう…もうしばらく、後の事…
<終>