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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第22章 いつか竜宮城へ 〔浦島虎徹〕


「ん?この亀は浦島のだよね…?」

朝、起きて廊下に出た私が見たのは、廊下の真ん中をのしのしとゆっくり歩く亀だった。

亀に近寄り声を掛ける。

「ねぇ、あなた、浦島の亀だよね?どうしたの、ここで?」

勿論亀が答える訳もなく、こちらをじっと見るだけ。

「浦島のところへ連れて行こうか?」

私が更に亀に話し掛けると、亀は理解をしたのかゆっくりとこちらへからだを向けた。

「じゃ、失礼するね…」

そっと甲羅の左右に手を入れて持ち上げると、亀は暴れもせず頭をひっこめもせず黙ってそのままでいた。

私は浦島の部屋へ足を向け、襖の前で声を掛けた。

「浦島、いる?亀さん、連れてきたよ」

するとすぱーんと勢いよく襖が開き、寝癖のついた頭のままの浦島が飛び出してきた。

「かめきち!居ないからびっくりしたぞ。勝手に遊びに行くなよー」

私の手から亀を受け取り、甲羅を撫でる浦島は可愛かった。

「浦島、寝起きなの?髪の毛爆発してるね」

気付いて髪の毛の事を言うと、浦島はしまったという表情を見せる。
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