第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
「美味しいものじゃないっていうのに…無理に呑まなくても…」
俺が焦って言うと、呑み終えた雅は口を手の甲で拭いながらも頭を左右に振った。
「…加州くんのなら…平気、だよ…」
軽く咳をしつつ、俺のほうを見て小さく笑みを浮かべる雅を見て、俺はそのまま彼女を両手で引き寄せ抱き締める。
「雅、本当に可愛い…」
「加州くん…好き…」
俺に愛を伝えて来る主が愛しくてならないし、刀の俺がこんな気持ちを持つなんて、他の付喪神が知ったら笑うかもしれない。
でも人を愛して、彼女の最期まで彼女を守りたいと思うのはおかしいだろうか。
だから、彼女を辱めた刀剣が、誰であろうと許せない。
俺は夜の暗闇で自分の紅い爪を見、やけにその闇の中で赤く見える爪に、血を思い起こす。
復讐のため、同じ刀剣を斬り裂いたら、やはり血しぶきがあがるのだろうか。
俺のからだに、斬った瞬間飛び散る相手の血、それを想像すると俺は更に興奮する。
しかし今はそれを考えるのは止めよう。
目の前に抱く俺の可愛い主と再度横になる。
「もう少し寝ようか、夜明けまでにはまだ早いよ」
俺が声を掛け、主をもう一度抱き締めると、主が俺を暗い中見つめて俺に言った。
「…加州くん…大好き…」