• テキストサイズ

刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第19章 貴方を知りたい 〔同田貫正国〕


「えっと…そういうのは…無し、です…」

すると「ははは…」と笑って同田貫さんは、私の顔から手を離した。

「俺は何もいらねぇよ。刀の本分は戦で使われる事だからな。出陣出来れば良い」

まっすぐ前を向く同田貫さんの眼差しは、遠くを見るようだった。

私はその同田貫さんの頬にちゅ、と軽くキスをした。

「…おい…」

「唇は無しですけれど、これくらいなら…」

私は自分の顔が赤くなるのを感じ、そのまま立ち上がり、逃げるようにこれだけ言って同田貫さんの隣から早足で逃げた。



「…全く可愛い事してくれる」

同田貫さんが、私が居なくなってから、キスした頬を軽く撫で、こんな事をつぶやいたのは知らない。





刀は戦で使われてこそ。

実戦で使われてきた同田貫さんだから、この言葉は重い。

どれだけ出陣したのだろう、そして、どれだけ斬ってきたのだろう。

私の知らない同田貫さんの歴史と姿、もっと知りたいと思う心が小さく生まれる。

それがどう育っていくのか、審神者としての愛刀精神や家族愛といったものなのか、それとは違う特別な感情になっていくのか、検討はつかないものの、育ちゆく気持ちに名前をいつか何かしら付ける事になるのだろう、と思う。

同田貫正国という刀がどんな人によって作られ、どんな人に使われ、どんな戦いをしてきたのか…同田貫さんに話しを聞きたい…な…


<終>
/ 790ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp