第19章 貴方を知りたい 〔同田貫正国〕
「隣、座っていいですか?」
縁側で足をぶらぶらさせて座る、同田貫さんを見掛けて声を掛ける。
「…いいぜ」
ぽつりと一言許可をもらって隣に座り、また話し掛ける。
「先日の出陣は誉を取ってましたね」
「…あぁ…」
ぺらぺら話すかたではないので会話が続かないなぁ、と思いながらもなんとか話しを続けようと私は口を開く。
「その誉を取られたご褒美のようなものを、まだ伺っていませんけれど、何かありますか?」
「…それは誉を取ったやつに必ず聞く事なのか?」
何気なく聞いたことだったけれど、同田貫さんから聞かれ横を向くと、不機嫌そうな彼がいた。
「そういう訳ではありませんけれど…いけませんか?」
「俺は刀だからな、出陣出来れば良い。そして他のやつより相手を斬りたいだけだ。だから誉だろうが何だろうが、俺は特段欲しいとも思っていない」
手柄が欲しいのではない、自分が刀剣だから出陣して斬りたい、と刀本来の理由を述べられ、私は目をぱちくりさせながら同田貫さんを見つめた。
「…なんだ?ずいぶんな間抜け面だな」
私が相当ぽかんとしながら同田貫さんを見ていたらしい。