第16章 当番 〔燭台切光忠/肥前忠広〕
最近やってきた男士は、「めしは食う専門」と言い放った。
全ての事は当番制だから、食う専門じゃあ困るんだよね。
ぼくは歌仙くんと相談して、どちらかが必ず彼と一緒に組んで、調理を覚えてもらう事にした。
調理の機動が落ちるから、堀川くんにもその時は入ってもらう事にして、堀川くんにも了解を得る。
「勿論良いですよ、少しずつ覚えてもらいましょう」
堀川くんはにっこり笑って了承してくれる。
弟にしたいような可愛さだけれど、ぼくには貞ちゃんという可愛い弟のような短刀がいるし、堀川くんは和泉守くんを慕っているから、お互いにとっても大切な存在がいるって事か。
ぼくは足を運び、食う専門、と言った肥前忠広くんのところを訪問した。
「ここは当番制でいろいろな事をしているんだ。だから食う専門じゃなくて肥前くんにも調理を手伝ってもらうよ」
「あぁ?俺がめしを作るのか?」
めんどくさそうに返事をする姿は、慣れあうのが嫌いな彼に似ている、とぼくは思う。
「そうだよ、出来ないならぼくと歌仙くんと堀川くんで教えるし、ひとつずつ簡単な事から始めていくから大丈夫」
「ぼくもその当番は入っているのかい?」
横から口を挟んだのは、肥前くんと一緒にこの本丸にやって来た南海太郎朝尊くんで、肥前くんはずっと彼の事を『先生』と呼んでいる。