第15章 出陣の理由 〔山姥切国広/R18〕
結局は俺にやって欲しいと、いう事かと俺は気付き、被った布の下で小さく笑みを浮かべるが、その表情は雅に気付かれないようにして答えた。
「俺は雅のために働く」
「…出陣もいっぱいしてもらうからね」
「俺は雅のために働く」
同じ事を答えると雅はむっとして言った。
「私の為にって言うなら、今すぐこっちに戻ってキスしてよ」
俺は手を襖から離し、雅の布団へ戻り、かがむと雅の頬に手を添え軽くキスしたが、唇を離した途端雅に「もっとして」と言われてしまう。
そう言われ、再度今度は口の中に舌を差し入れ、雅の舌を絡めとるキスをした。
全く素直じゃない俺の可愛い主だ、と俺はキスをしながら思う。
結局大阪城への出陣は、どこの本丸でも本当の出陣理由はわからず仕舞いで、時の政府はそのうちまた俺たちに意味のわからない出陣をさせるだろうと皆思い、それは本当にそうなるのだが、それは少し後の話しとなる。
雅は俺に抱かれる都度、「優しくしてっ」と必ず念を押してくるのは、最初があまりに俺の勝手で激しすぎたからか。
一度徹底して優しく甘やかしたらとろとろに蕩けてしまい、むしろ俺のほうがその甘い姿態に酔わされて、互いに朝までむさぼり尽くした事があって、それから適度に攻めるようにする事にした。
「ちょ…く、にひ、ろ…待って…それ、はげし…い…ああっ…イク…ぅ…」
大阪城ではなく、俺が雅の許へ出陣する理由は、ひとつしか無いのは、確かだな。
<終>