第13章 いたずらから知る愛 〔和泉守兼定/R18〕
「…ん…ぁ…」
いつもの乱暴な言葉とは違って、俺は優しく口付けする。
ああ、俺の刀の主の土方歳三が、遊郭でそれなりにおんなを相手にしているのを見てきたからな、おんなには優しくするのが良いって事は知ってるぜ。
唇を触れあうだけの口付け。
そういや土方さん、睦言でおんなを蕩かすのがうまかったよなぁ。
俺は土方さんのその時の行為を思い出しながら口付けを繰り返し、片手で雅のからだをなぞる。
わざと敏感に反応するところへは触れず、あくまでからだの線を手のひらで撫でてゆく。
「…ふぅ…」
口付けの合間に雅の小さな吐息が漏れてくるが、おとこをそそるようないつもとは違う甘い色を含んだ声だ。
この甘い声に俺も自分の理性が飛びそうだ、いや、既にもう飛んでしまっているのか。
ところが、俺は唇を離し、顔を赤くして息を少し荒げる雅にわざと言った。
「すまん、主が可愛くてついこんな事をしてしまった。忘れてくれ」
すると雅は涙を目にためて言う。
「ひどい…こんな事して途中で止めて…私はおもちゃじゃない…」
思った通りの言葉が戻ってき、俺は自分の言いたい事を重ねる。
「言葉が足りなくて悪い。俺は主が可愛くて他のやつらに渡したくない。だから一時の戯れで主に触れたくない。主、あんたの全てを俺のものにしたい…俺は主が好きだ」