第13章 いたずらから知る愛 〔和泉守兼定/R18〕
主は益々むうと頬を膨らませて言う。
「わきゃったきゃら、手、はなちぇ」(わかったから、手、離せ)
頬を潰されたまま俺が変に話すので、主は意地悪く額をくっつけてきた。
「どうしようかな、いつもかっこいい和泉守のこんな顔、滅多に見られないから面白いし離すの嫌だなぁ」
すごい至近距離で俺と主は話す事になって、俺は内心、心の臓が音を立てる程に驚き、可愛いらしい主の顔をものすごいアップで見られる事に、動揺してしまった。
「…」
二人の間に変な空気が流れ、主もようやく状況を理解したらしく顔を赤くして額を離し、両手を頬から離して、俺から離れようとした。
けれど俺は主にそれをさせなかった。
俺の両手で反対に主の両手を掴み、俺は主を更に至近距離で覗き込んだのだった。
「和泉守…っ、ち、近いよ…っ」
主の顔に熱が集まり火照っているのが俺でもわかり、顔を背けて俺の視線から逃れようとするものの、両手は俺にがっちりと掴まれ動かせず、更に俺が掴んだ主の両手を俺のほうに引っ張ったから、主のからだはそのまま俺へぽすんと預ける事になった。
俺は主の両手を離し、からだを抱き締める。
主は不本意に飛び込んでしまった俺のからだから離れようとしたものの、俺ががっちりと抱き締めたため、益々逃れられなくなった。
「ちょ…和泉守…」
「…あんたは本当に無防備だな」