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とある組織の黒い魔女 【名探偵コナン】

第9章   魔女と魔女







「お姉様、久しぶり…逢いたかったわ」
ベルモットが私の手を取り、その手の甲にキスをする。
ただの挨拶か尊敬の意なのか
近代ではこのキスも曖昧な意味しか持たない。

『ベルモット、そのお姉様というのやめないか?』

「あら、私は間違ったことは言ってないけど?」

『では、私もお前のことをシャロンと呼ぶぞ?それともクリスが良いか?』

こらから、暗殺を行うというのに
あまりにも人を殺し過ぎて感覚が麻痺しているのだろう
緊張感のカケラもない会話が続く。


本日の会場は裏社会の人間が世界中から集まる
仮面パーティー
もちろんその情報はこの国の秩序を守る管理機関
すなわち、警察にも知られており変装をした奴らがウロウロしている。




ベルモットは黒のドレスに大胆な金の刺繍が入ったものを
私は純白のドレスに小さなダイヤモンドが散りばめられたものを身に纏い
仮面を被る。

ドレスは共に胸元が大きく開き、スリットは太ももの付け根まで
男を誘うには十分過ぎる演出だ。

『たった1人を呼び出すより、皆殺しの方が早いんじゃないか?』

「ダメよ。アイリッシュ。貴女の綺麗な手を無駄に汚さないで』

『今さらだろう』

「今さらだからよ」

ベルモットは冷酷で残酷な女だ
組織での働きを見たらすぐに分かる。
しかし
全て組織のためではない
己の信念がそのどこかにある。
私に無駄な殺しをさせたがらないのはその信念からなのか


「言い忘れていたわ。このミッションにはもう1人参加しているのよ」

『ほぉ、先程から視線を感じると思っていたら…そういうことか』

「さすが組織の魔女ね」

『魔女はお前だろ?千の顔を持つ魔女さん』

不敵な笑みを浮かべ、ベルモットの顔にギリギリまで自らの顔を近づけた。

『ほぉ、この顔は本物だな』

「…っ」

驚きを隠せずにいるベルモットは可愛らしい。
まるで幼い少女のようだ。
いくら、変装が得意でも
いくら、人間の年齢を重ねても
いくら、仮面を被っても
本来の姿を隠すことはできない。
人間の最深部にある
人間らしい真の姿。
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