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とある組織の黒い魔女 【名探偵コナン】

第6章   魔女と名前


約束は破るためにあるものか

守るためにあるものか



赤井と別れタクシーに乗った。
送ると言われたが、あまりにも私に干渉し過ぎると赤井の身が危険にさらされると思い断った。

一緒に居て楽しい時間を過ごせる相手はそうそういない。
今、消えてもらっては困る。


揺れる車内
赤井の顔を思い出す。


『あいつ、何か言いたげだったな・・・』


読むことのできない複雑な表情をしていた。
何を考えていたのか、わからない。
人間の感情は未だに未知の領域がある。


「つきましたよー」
タクシーの運転手の声でハッと我に返った。
指定した場所に着いたようだ。

そういえば・・・現金・・・・

組織では基本的に財布は持ち歩かない
服のポケットに数万円押し込んでいるだけだ。

しかし、今は服が違う
赤井の服だ。
とりあえず、ポケットに手を入れる。


クシャ・・・

紙の感覚・・・
まさか・・・


「ありがとうございましたーーー」
タクシーは去って行った。
私が無事に支払いを済ませることができたからだ。
どうやら、赤井が先を見越して準備をしていたらしい。


『どこまでも気が利く男だな』

彼のことを思い出すと面白くなり口元は緩む。



自宅に着くと
シャワーを浴び直し
自分の服に着替え
気持ちばかりの化粧をする。


赤井の痕跡は全て消した。



自宅に置いて行ったスマートフォンの画面を見ると
ジンからのお呼び出しだ。
昨夜から何件か不在着信も残っている。


組織の中で私を呼び出すことのできる少ない人間のひとり

『なんのようだ?』

「アイリッシュ、報告はしろと言っていたはずだが?」

『あぁ、別に報告はしなくてもわかるだろう?私に失敗はない』

「それは分かっている。あの方が『そっちか』

ジンが言い切る前に言葉を被せた。
あの人なら私を気にかけるのは当然だ。
私はあの人のお気に入りらしい。

『連絡は入れておく。で、お前はなんの用だ?』

あの人の話はきっと後付け
本来の目的は私
そして
ジンはとあるホテルの部屋を指定してきた。

ほら、やっぱり
ウォッカから聞いたことがある。

【アイリッシュは兄貴から好かれている】
【アイリッシュと話している時の兄貴の顔は違う】


どうやら、ジンのお気に入りでもあるらしい。

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魔女と名前  ③お気に入り
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