第4章 魔女と人間
アイリッシュは自分が感じたこと思っていたこと
今まで、誰にも問うことができなかったことを言葉にできただけで
それだけで満足だった。
答えを欲していたわけではない。
ただ、それだけでアイリッシュは救われた。
『赤井!』
「どうした?」
自分よりも高い位置にある赤井の顔を見上げ笑顔を見せる
目の周りが少し赤みを帯びているようにも見えた。
そして、『ありがとう』と一言残し
タオルを巻くと勝手に部屋の中を物色し始めた。
この切り替えの早さに
さすがの赤井も唖然としている。
だが、これでわかったことがある。
組織の魔女だと周りから恐れられ敬遠されている彼女にもしっかりと【心】があったことだ。
不老不死の魔女でも
心があり、感情があり、自らの意思で考え思う
ただの人間である自分と変わらない
彼女も
心を持った一人の人間だ。
そんな彼女になら
赤井秀一という名を知られても構わないと思った。
心のない、人を人だと思わない組織の人間とは
違うのだ。
赤井は勝手に冷蔵庫をあけグラスに氷を入れているアイリッシュを眺めながら
少し前までアイリッシュを疑い必死に調べを進めていた自分を思い出し自嘲的に笑った。
不老不死の魔女のくせに
時に幼く
時に強く
儚く
脆く
頑固で
無邪気で
破天荒な
礼儀知らずの
自己中心的で我が道を突き進む
素直になれない
繊細な臆病者
そんな彼女を愛おしく思う
赤井は静かにアイリッシュの後を追った。
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編集したら長くなったので
2部構成にしました・・・・。
すみません・・・・。
魔女と人間 ④魔女の正体