第3章 騎士団長には敵わない
某日、フェードラッヘ城。騎士団長居室にて。
久しぶりだな。突然呼び立ててすまない。
ああ、ヴェインなら十日前から遠征に行っている。……そうか?一応これでも片付けたつもりだったんだが。悪いがその辺どかして適当に座ってくれ。
フフッ、そう残念がるな。予定では今日の夜には帰ってくるはずだ。からのリクエストならアイツもきっと張り切って作ってくれるさ。
それで、まぁ肝心な本題なんだが……えーっと、どこから伝えればいいのか。
そうだな、順を追って話すとしよう。先日カール王から直々に見合いを勧められたんだ。そろそろいい歳だし、第一騎士団の見本となる立場としても結婚して所帯を持つことは重要だと。見合いの相手は公爵の娘で、有難いことに以前から俺の事を好いてくれていたようだ。
……いや、そうではない。相手の女性は素直で真面目な思いやりのある娘さんだったが既にこの話は断った。……驚かないんだな。……そうか?まぁそれで俺なりに結婚や今後について考えたんだが、俺にとってやはりヴェインのいない生活は考えられなかった。アイツは俺にとって大切な家族のような存在だ。……ん、俺とヴェインが?何を言っている。そもそも法律で男同士の婚姻は認められていないだろう。可笑しなことを言うな、まったく。
ヴェインとが結婚して欲しいんだ。
今すぐとは言わない。そのうち、いろいろな事が落ち着いたら一緒に暮らそう。俺ととヴェインの三人で。