第3章 リリィの成長
リリィを散歩させながら俺はどうしたものかと考えた。大切にするあまりリリィの視野を狭めて結果まだ話すことが覚束無いなんて本末転倒だ。それなら会話専門の教育係を付ければいいと思うが人選が難しい、リリィだって人見知りはするし下手に適当に選べば変な事を覚えかねない。ミルキは頼りないし父さんも母さんも忙しいから執事から選ばざるおえない。
試験でもしようか……。言葉遣いから生い立ちまで全て調べて確認してリリィに相応しい人を選ばなくては行けない……。執事と共に花摘みをするリリィを傍で見ながら考えていると、花冠を作ったリリィが俺にそっとそれを被せてきた。
「オソロイ……♪」
「ありがとうリリ。」
撫でてやると嬉しそうに目を細めた。そしてまた1つ花冠を作ると今度は執事に差し出したのだ。普段どの執事といても最低限の会話しかしないしましてや物をあげることなんて聞いたことがなかったその行動に俺は少からず驚いた、花冠を差し出された執事も同様なのかどうしたらいいか分からず受け取れずにいる。
「……イラナイ?オハナキライ?」
「いいえ!!そのような事は決して……っしかし私は執事にございますリリィお嬢様…。」
「アゲル」
「良いよ受け取って。」
リリィがそこまでして渡したい理由が気になったので受け取るように執事に促す。
「は、はい!有難う御座いますリリィお嬢様…。」
「良かったねリリ。さ、そろそろお部屋に戻ろうか。」
「ウン。ワカッタ」
執事が受け取ったのを確認しリリィと先に部屋に戻ることにした。リリィを横抱きにして歩き理由を聞いてみることにした。
「リリどうしてあの執事にお花をあげたの?」
「アノヒト、イツモカミ……トカシテクレル。」
「髪を梳かしてくれるからあげたの?でも……」
それは仕事だから当然だろうと言いかけた時リリィがボードになにか書き始めた。そこには
『それに、他の人は私と目を合わせてくれないけどあの人はいつも近くまで来てお話聞いてくれる。』
と、どうやらリリィが話せないことをいいことにサボっているヤツらが居るようだ。どうやらお灸を据えなければいけない執事が居るようだ。後で監視カメラを全てチェックし直す必要があるようだ。だが、一先ずはあの執事だ第1候補として調べる必要があるようだ。
数日たち、サボっていた執事を片付け新しい執事も迎え入れた。