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甘やかしてよ、トリュフ

第2章 生クリームを鍋で温めます



秋也くんは私の隣の家に住む男の子だ。

私がこの家に越して来たのが5年前。その頃の秋也くんは小学生だった。
おずおずと「はじめまして…おばさん」と言われ、「おばさんじゃなくて有さんて呼んで〜!」と悲鳴をあげて以来、こう呼ばれている。
そりゃ小学生からしたらおばさんかもしれないけど…そう呼ばれたくはないじゃない、ねえ。

隣の奥さん…つまり秋也くんのお母さんとは、ちょくちょく話をする。町内会で会ったり、旅行のお土産を渡しあったり。

とはいえパートタイマーで子どももいない私と、学校教員としてバリバリ働きながら秋也くんを育てあげている奥さんとでは、何もかもが違いすぎる。

だからそれほど親しく付き合っている訳でもないし、まして秋也くんとはほとんど接点がなかった。
朝のゴミ出しの時に会って「おはよう」って言ったら「おはようございます」って返してくれるくらいかな。

だからまあ、3日前に秋也くんから「バレンタインチョコを作りたいので作り方を教えてください」と言われた時は驚いた。

驚いたけど、断る理由もないので了承して今に至るわけだ。

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