第6章 冷蔵庫でしばらく冷やします
視界が黒く狭まっていく気がする。なんだろうこれ。ああそうだ、貧血でめまいがする時に似てる。
「有さんはセックスレスですよね。旦那さんとは2年もしてないでしょう?」
秋也くんの言葉が、頭の中を埋め尽くした。
言葉の金槌で頭をぶん殴られたみたいだ。ガンガンと響いて、壊そうとしてくる。息が苦しい。なんで?なんでそれ知ってるの?
「だから…いつも1人でして、自分を慰めてるでしょう」
秋也くんは、いかにも憐れむようにそう言った。
なんでそれもバレてるの。怖い。
でも怖い以上に、悲しくなった。
「う…うっ、ふう…」
両目から涙がにじみ出た。
セックスレスなんて、そんなこと知られたくなかった。秋也くんに知られたくなかったし、私も知りたくなかった。
そんな言葉を、目の前に突きつけられたくなかった。
セックスレス
ずっとずっと気づかないフリをしていたのに。