第3章 生クリームと刻んだチョコを混ぜ合わせます
「待ってください有さん、紙袋はいりません」
そうして
「紙袋はいいので、こっちにきて、オレの方を見てください」
そう言った。
「え…、あ……」
私はおずおずと振り返り、秋也くんの前に立った。なんだか息が詰まりそうな気がした。秋也くんの放つオーラ?というか気迫?が少し怖かった。
「有さん」
秋也くんは毅然とした声で私の名を呼ぶと、両手に持ったその物を私の方に差し出した。
「これ、あなたにです」
ピンクのリボン、花柄のマスキングテープ、アンティーク調の紙の容器に詰め込まれたたくさんの…チョコレート。
その”よくわからないもの”を私は両目で見据えた。次に顔を上げて、秋也くんの顔を見た。秋也くんは穏やかに微笑んでいた。
「有さん、オレはあなたが好きです」