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[R-18]娼婦の唄【轟 焦凍】【爆豪 勝己】

第4章 感謝を


















そろそろ、焦凍も入学の時期。
親として、何もしてやれなかった後悔が私を苛む。
あの子は優しい子。
私を気遣って、私に会わないようにしてくれている。
その罪悪感が、さらに私を追い詰める。

「奥様、贈り物が届いております」

「贈り物?」
側に来た私の付き人が頭を下げる。
その手には二輪の青い花が揺れていて
「今朝、奥様宛に玄関の前に置いてありました。差出人は不明なのですが………いかがなさいます?」
「………!」

季節外れの青い花。

「…あの人だわ」
二輪のその花を、手に取る。
少し土っぽいその花を、彼はどこで取ってきたのやら。



「あのね、この花を好きだって、私あの人にしか言ったことがないの」







勝利 正義感
貴方に似たその花が、私は好きだと






「あの子は、凄いわね」





あの子が来てから、轟の空気が変わっていくのを感じる。
紅い鞠の 恋の歌。
誰が作ったかわからないヘタクソな恋の歌に、彼女の無邪気な鼻歌が屋敷に響く。
私とあの人、焦凍に気を使ってピリピリしていた使用人達の空気も、ガラリと変わった。






「私も、変われるかしら」





冬の終わりの春の風がリンドウを揺らす。
私はその花を抱えたまま、ゆっくりと廊下へと足を踏み出した。
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