第12章 一つの曲に題名を。
side izumi
白いその子はそう言って哀しそうに微笑む。
「…約束?」
「はい。あ、別に無理強いする訳じゃないんで…約束…というか私の"願い"ですかね…」
困ったように笑ってこちらを見る。
「…前に進み続けるいつも真っ直ぐなpawn(ポーン)。いかなるときも冷静で策士なbishop(ビショップ)。時に美しく時に雄々しく、いざというときに力を出してくれるqueen(クイーン)。皆の居場所になってくれるとっても面倒見の良いrook(ルーク)。そして…」
「そして、ワガママで横暴な時もあるけど…やっぱりいないといけないこの子達の…king(キング)。」
「この"五人"で歌って欲しいんです。」
なんで…
「なんで…」
「?瀬名先輩?」
なんであんたは…
「…なんであんたはそんな顔してるわけぇ?」
諦めてるけど何処かで期待しているような…
そんな複雑な表情で目に涙を貯めて此方を見ていた。