第12章 想う心(手塚)
竜崎「手塚、来てたのかい」
竜崎先生が病室に戻ってきた。
手塚「竜崎先生。連絡ありがとうございます」
国光の手が私から離れる
竜崎「お前さんの涙初めてみたよ。香住は手塚にとって特別なんだね」
手塚「誰よりも大切です。1番守りたい人です。なのに俺は…」
国光が私に縋り付いて泣いている。
竜崎「あまり自分を責めるんじゃないよ」
手塚「竜崎先生、長野が目覚めるまでずっと側にいてやりたいので、部活辞めさせて下さい」
えー!ちょっと待って!私そんなこと望んでない!
竜崎先生!何考えてんの!
このままじゃ国光がテニス辞めちゃうよー!
竜崎「それだけの覚悟があるってことだね」
手塚「はい。勝手だと思いますが、今は長野の事だけを考えたいんです。それくらい俺にとっては大切な存在なんです」
竜崎「なら、直接本人に言っておやり。香住もういいよ」
香住「国光、テニス辞めちゃダメだよ」
私は足の痛みも忘れてベッドから飛び起き国光に抱きついた。
手塚「え…。長野…なんで?」
国光は目を見開いて驚いた顔をしてる。
竜崎「足、折れてるのに無茶するんじゃないよ」
竜崎先生が国光に事情を話した。
手塚「嘘でよかった。長野が階段から落ちて、頭の打ち所が悪くていつ意識が戻るかわからないって竜崎先生から連絡を受けた時、頭が真っ白になった。長野の事しか考えられなくなって、直ぐにかけつけた」
香住「騙すような事をしてごめんなさい」
竜崎「香住は悪くないよ。全ては私が企んだ事さ。それに1歩間違えば現実になっていたかもしれないんだよ。それを肝に命じておくんだよ」
手塚「はい、わかっています。竜崎先生のお陰で大切な事に気付けました。ありがとうございます」
竜崎「じゃあ私は帰るから、後は2人で話し合いな。手塚、ちゃんと香住を送ってやるんだよ」
手塚「はい、お任せ下さい」
竜崎先生が帰っていった。