第5章 バレンタイン小説(跡部・跡部目線)
コン、コン
生徒会室で香住を待っているとドアがノックされゆっくりドアが開いた。
『あんな声で呼び出したから怯えてやがる。悪い事をしちまったな…』
「跡部君、何の用?私何か失敗しちゃったかな?」俺の様子を伺いながら香住が話す。
「失敗?思い当たることがあるなら聞いてやる」俺の言葉に香住は首を横に振る。
『安心しな、何も失敗なんかしちゃいねぇよ』
「香住からのチョコ、ありがたくいただいたぜ。高貴な俺様にピッタリのチョコだったぜ。俺の為に作ってくれてありがとう」感謝の気持ちを伝えて香住を抱き締めた。
「俺に媚びたりせずに普通に話してくる女はお前くらいだ。不器用なのに一生懸命で、気がついたら目が離せなくなってた。お前の為に何かしてやりたいのに、お前は全然俺を頼ろうとしなかったから、お節介を焼いちまった。あんなに想いのこもったチョコを貰ったら我慢なんか出来るわけねぇよな」香住の頭を手で包み込むようにして支えて香住にキスをした。
キスをされた香住は頬を赤らめてボーっとしている。
『嫌がられねぇって事は、やはりあのチョコは本命だったってことだな…』
「何かを期待してる顔だな、残念だが今日はここまでだ。ここから先は大人になったらな」キスをした後の香住の顔があまりに可愛くて自分に言い聞かせるように言い、ウィンクをして気持ちを香住に悟られないように誤魔化した。
「え…そんな、期待なんかしてもん!跡部君のエッチ!」香住は口を尖らせ頬を膨らませて抗議してきた。
『怒った顔も可愛いじゃねぇの…』
「そんな可愛い顔すんじゃねーよ。今すぐ食べちまいたくなるだろーが。チョコの礼なら考えてある。しかるべき日まで期待して待ってな」香住があまりに可愛い顔をするから香住を今すぐにでも抱きたくなる。
『ここは生徒会室だぞ。それに俺様はまだ中学生だ。今はまだ香住にこれ以上手を出すわけにはいかねぇ』
俺は香住を抱き締めたまま優しく頭を撫で、もう一度優しく唇を重ねた。
『今はまだキス止まりだが俺様が愛してるのは香住だけだ。お前が受け止めきれねぇくらい愛してやるから覚悟しな』
唇を離した後も俺はずっと香住を抱き締め続けた。