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eternity―永遠―

第1章 バレンタイン小説(手塚・彼女目線)


3年間片思いの彼の名は手塚国光。生徒会長で将来プロが確実視されている有名テニスプレイヤー。寡黙だけどそこがいいって女子人気は高い。

私が手塚君を知ったのは1年の春のクラブ見学の時。どの部活に入ろうかと色々見てまわって辿り着いたテニス部。
1つのコートに人が集まっていた。覗いてみたら小柄な男の子が先輩らしき人と試合をしていた。

『確か…同じクラスの子だよね。学級委員に選ばれてた……名前は確か……手塚君』

周りの会話を聞いていると、体験入部の1年が2年生と対等以上の試合をしているという。私は女子テニス部の見学に行くのも忘れて試合を見ていた。
試合は手塚君の勝利。勝ったのにニコリともしない手塚君が気になって試合終わりの手塚君に勇気を出して話しかけた。
「同じクラスの手塚君だよね?見てたよ。強いんだね。テニス部に入るの?」私の問いかけに手塚君は「あぁ」とだけ答えて去って行った。

『決めた!私もテニス部に入る!』

手塚君とは2年では別のクラスになっちゃったけど、3年でまた同じクラスになれた。手塚君に少しでも近づきたくてテニスを頑張ってるけど、私の実力は中の上くらい。全国レベルどころか地区大会レベル。生徒会に立候補なんて華々しいことが私に出来るはずもなく、それでも少しでも手塚君に近づきたくて手塚君と同じ学級委員に立候補した。

学級委員同士、話すこともあるけれど寡黙な手塚君は多くは話さない。雑談をすると怒られそうだし、お互いに黙々と作業をする事が多くて手塚君との距離を縮められない。

『もうすぐバレンタインかぁ。今年は勇気を出してみようかな。頑張って1歩踏み出してみよ…』

2月14日。バレンタインデー当日。
かなり早起きした私は手塚君に渡すチョコを作っている。こんな時、料理が得意でよかったって思う。甘さを控えめにして見た目もあまり可愛くなりすぎないようにした、手塚君の為の世界に1つだけのチョコが完成した。

いつもならまだ寝てる時間に家を出て学校へ向かう。周りを見渡して、教室と教室周辺に誰もいないのを確認してから教室に入る。ドキドキして震える手で鞄からチョコを取り出して手塚くんの机にそっと入れて教室飛び出した。
そして1回家に帰り、いつもの時間に再び学校に向かった。だってあのまま朝練に行っても多分まだ誰も来てないだろうしね。
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