第11章 自覚のない男【青峰大輝】
「え……?お前んとこ既に毎日喧嘩してんの?」
「まぁな。」
「よく子供1人になんなかったな……」
「それは別だろ」
毎日喧嘩の辺りから周りは唖然としてるのに、言い放った彼は至極当たり前の事だとでもいいだけだ。
「何が原因で喧嘩すんの?」
「別に大したことじゃねぇよ。腹重そうだから昼自分でなんとかするっつってんのに大丈夫とか言い張って作っから、弁当箱隠したら違う弁当箱用意してきやがってそれ3回繰り返したら弁当箱多すぎて邪魔だってキレられた」
「……あ、いや。そーゆんじゃなくてさ……」
「他にもある」
「どんな?」
「妊婦は睡眠すげー大事だって医者が言うから、つばきが昼寝してる時に上のチビが騒ぎ出したの公園連れてったら、起こして欲しかったとかいいやがるから昼寝がどれだけ大事か説教してやったわ。」
「あ、いや、だから違くて」
「は?あいつマジワガママだからな。今朝もやりあったわ」
「なにを?」
「もう腹でかくて心配だから、昼間は会社の近くのホテルにいろっつったら、なんかあったらすぐ病院電話するからいいとか言いやがって。会社のが病院近ぇんだから絶対それがベストだっつーのに、そんな人いない。過保護すぎるとか言われて。なら休むっつったらクビになって父親がニートなんてヤダとか言うからしゃーなし会社来たわ」
「あ……へぇー。仲良いな……」
「はぁ?話ちゃんと聞いてたかよ。すげぇワガママでヤダヤダ言い過ぎだろ。まぁ別に地獄だと思ったことはねぇけど」
「だろーな。まぁ今日は早く帰れな」
「当たり前ぇだろ。俺がチビ迎えに行くんだから定時ダッシュだわ。女が3人相手してんだから、こっちも3人いる想定で生活しとかなきゃいざ生まれた時役たたずだろ」
何を聞いてもただの惚気。
喧嘩してると思ってるのは本人たちだけだなと全員が顔を見合せた。
そして本当に定時の鐘と共に帰宅していった。
「地獄にしてたの、俺ら??」
「子供、もう2人の想定で生活しないとやべーか?」
「飲みは……」
「「やめとくか」」