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【黒子のバスケ】短編集

第11章 自覚のない男【青峰大輝】


「女って妊娠するとなんであんなキレるわけ?1人目んときよりキレてるわ」

「それな。うちのも事ある毎にキレてたわ。けど産んだらさらにキレててもうキレてんのデフォ。2人目産んでからもはやゴリラ。」

「はー。帰るの憂鬱だわー。飲み行かね?」

「行くかー」

なぜ妻が怒っているのか分かっていないであろう男たちの会話。
その場にいる全員の顔に“そういうとこだよ!!”と書いてあるのにも全く気づいていない。



「青峰、お前は早まるなよ。子供2人になった瞬間今の1000倍は嫁キレるからな」







「あー?うちもうチビ3人だから時すでに遅しだわ。」


「「「「えぇ?!」」」」


話を振った本人だけでなく、その場にいた全員が彼の発言に唖然としてるが、当の本人はそんな周りの様子を気にする素振りすらなくひたすら始末書を書いている。


「え?青峰君のとこお子さん1人だよね?え、あたし届け見落とした?!」

子供に切り刻まれた社員証を再発行して届けにきてくれた総務の社員が驚いたように話しかけるとやっと手を止めた。


「届けは来月出すから頼むわ」

「あ、そういう事か。びっくりした。って双子?!」

「そー」

「わー!おめでとう!」

総務の女性に続いてその場にいた他の社員たちも次々に祝福を伝えると、隣の営業1課と3課からも拍手が沸き起こった。


「びっくりしたわ〜。まぁ残り少ない子供1人ライフ楽しんどけ。産まれたらマジ地獄待ってっから」

「は?生まれてなくても腹に入ってたら3人だろ。地獄にするしねぇは自分次第じゃねーの」

「生まれて現実知ったらそうも言えなくなるって。2人子供がいる現実を俺が教えてやるからお前も飲み行こうぜ」

いや、妻臨月近いって言っとるがな。
聞く気がなくても聞こえる会話に他社員一同がツッコミたい気持ちを必死にこらえているのに、2人育児の先輩を自称する彼は何故か得意気ですらある。

「行かねぇ」

「飲み行けんの今だけだぞ?!3人になったら飲み行くって言った言っただけで不機嫌まき散らかされるぞ!」

「へー。」

「それだけじゃない。子供が寝たタイミングで帰宅しようもんなら舌打ちまであるからな」

「へー。」

「何もしなくてもふっかけられて、毎日喧嘩にもなる」















「は?喧嘩毎日なんて別に普通じゃね」




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