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【黒子のバスケ】短編集

第8章 二人で 【火神 大我】


「大我…」

「んー?」

「ごめん……2日なんだけど、やっぱ本部から偉い人が来るみたい。課長から飲み会も全員強制参加だって言われちゃった」





今年の俺の誕生日は金曜日だから休み取って3連休にするから少し遠くに出かけようって話してた

だからつばきは会社に有給申請して承認されたはずだったのに雲行きが怪しくなったのは2週間前だった

もしかしたら2日に本部長が来るかもしれなくてそうなれば有給が却下されるかもって半べそかいて言われて、そん時はまだ確定じゃなかったからそれがどうなるかで行き先を決めることにしてた。


つばきの勤務する会社は規模はデカいけど体質が古いうえに体育会系

上司命令は絶対で本部から人が来るときは全員で取り繕ってご機嫌取ってってのが恒例で、私用で有給なんて言語道断って空気を社内全体が出してるらしい

つばき曰く、ごますり上手が出世する会社。らしい

まぁ面倒な会社ではあるけど待遇は悪くねぇし何よりもつばきのやりたい仕事ができる会社だから俺としても立場が悪くなっちまうならそっち優先でいい。

いつもは俺がアメリカにいるせいでずっと我慢させてんだし、今はシーズンオフで帰国しててつばきの家でゆっくり一緒に過ごせてる

誕生日だからって特別なことをしなくても、俺は一緒にいられるだけでよかったから金曜日が仕事になるならそれは仕方のねぇことだと思ってた


そして今日、有給は却下されて飲み会への強制参加が決まったつばきは心底申し訳なさそうに、眉を下げて俺を見ながら謝って、今にも泣いちまいそうだった


「そんな顔するなよ。送り迎えすっから頑張ってこい」

「……うん……なんで大我は…寂しくないの?当日約束してたのにお出かけできなくて、夜だって飲み会で、ご飯も一緒に食べられないのに。大我全然がっかりしてない」


さっきまで泣きそうだったつばきが今は不満げで少し怒ってるようにも見えた

がっかりはしてるし一緒に過ごせねぇのはやっぱ寂しい

けど俺だってつばきの誕生日はシーズン真っただ中で一緒にはいてやれねぇんだから、つばきが仕事で俺と誕生日を一緒に過ごせなくても文句なんて言えねぇ
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