第4章 奇術師にはご注意を!!
ルナと離れていた時間は、そう経ってはいない。
それでも、急にいなくなった事で、彼女の動揺が隠せないでいる。
不意に出る恐れや不安は、彼女のオーラも不安定に揺れいる。
だから、姿を現した時のルナの安堵の様子に、こちらも笑みがこぼれる。
ルナが、泣いている姿を必死に隠そうとするところも健気で可愛いのだが、それをさせたくはない。
余計な感情をさせるのも耐え難く横目で、その場所を見つめていた。
返り血など普段なら好んで浴びるが、今日はそんな気分になれない。
血のりが散乱した、薄暗い奥の道を遠目で見てはニヤリと微笑み、ルナを慰めつつ機嫌を取り作りながら、その場を離れた。
ベントラー開港は、さすがに人通りが多いが、あくまでもメイン通りだけ。
はしゃぐルナを見ては、自然と浮かれてしまう僕。
無邪気に笑う彼女を捕らえるように、奥の薄暗い通りから濃厚な視線を感じる。
ルナは、何も気づいてはない。
クッククク、僕の可愛いルナを狙ているのかい?
いい度胸だ♡僕が遊んであげよう。
でも、ルナを一人にさせるのは嫌だな。
さて、どうしようか?
彼女を見れば、人の多さに表情に影を起こして、不意に目を離すと人込みに逸れてしまうのではないかと不安なのだろう。
「ルナ、手を離しちゃダメだよ☆ 迷子になっちゃうからね」
ニッコリと微笑みながら、ルナの細い手を握る。
〖円〗を展開してみれば、あの奥に1人、2人…4人をいる。
ルナが、店先の綺麗な小物屋に気を取られているその隙に、この手を離そうか。
思惑通り群集の群れに逆らえず、ルナと手を離し、そのまま〖絶』を使って奥の道へと素早く移動した。