第4章 奇術師にはご注意を!!
二人は大通りを抜け、しばらく歩いて行くと漁船が見える。
足早に進む体と鼓動。
ヒソカを引っ張って、人込みの中へ走り出した。
「ルナちょっと落ち着きなよ!ここは、逃げていかないし、君の行きたい所は行くつもりだから」
「だって!!すこい人だよ!街も活気があって、色々なものがいっぱいだもの、目移りしそう」
さすが、世界でも有数なリゾート地。
ベントラー開港は、リゾート地ならではの新鮮な魚市場や野菜・果物といった他国からの貿易流通の要になっており色々な飲食店が立並んでいる。
このメイン通りも、人人で溢れていた。
いざ、その中に入って行ってみたものの、余りにも人の多さに吃驚する。
不意に目を離せば、人込みに逸れてしまうのではないかと不安になる。
「ルナ、手を離しちゃダメだよ☆ 迷子になっちゃうからね」
ニッコリと奇術師に微笑まれると、何かあるんじゃないかと勘繰りたくもなる。
迷子なんて子供じゃあるまいし。
店先の綺麗な小物に気を取られていると、群衆の波に押されて手を離してしまった。
えぇー!!ウソ!!!逸れた…。
キョロキョロ周りを見渡しても、ヒソカの姿が見えない。
ましてや、高身長にあの奇抜な服装の彼なら、目立つしすぐにでも見つかりそうなはずなのに…なぜか見つからない。
しょうがないなぁ…〖円〗を使おうか…。
そんな気分じゃないし、普通に探そう…。
どうせ、甘いお菓子に釣られて、フラフラしているに違いない。
そう言い聞かせて、ヒソカの足取りを辿っていった。