第2章 ヘルズ・バレンタイン
「ミケ!兎に角、足だけでも動かせるようにするぞ!
そうすれば体当たりして像を破壊出来る」
「もうダメだ、エルヴィン・・・」
「諦めるな!こんな事で諦めて巨人と対峙出来るのか!?」
「本当に恐いのは巨人ではなくだった・・・」
それは確かに同感だが・・・っていやいや、諦められるものか!
エルヴィンもめげそうになった時、エルヴィン班の班員である
ペールがこっそり椅子の後ろに廻り、声を掛けてきた。
「エルヴィン団長。遅くなってすみません。
今から縄を切りますので」
「ペール、感謝する。しかし、よくの監視の目を
掻い潜ったな」
ペールの口振りから隙を伺って助けに来てくれたのだろうと
判断したが、彼が曇った顔で語った内容に戦慄を覚える。
「いえ・・・実はさんが『これは独り言だが今から
奴らの縄を解けばギリギリ破壊出来るかもなー?私は貢物で
忙しいなー』と棒読みで仰られたので、此方に来られました」
「・・・・・・・」
―――、何て恐ろしい子!!
脱出時間を正確に測っての解放とは・・・。