第2章 理由その2
助けて貰ったとはいえ、何でここまであの男性に執着するか分からないけれど、今は明日も会えるのが嬉しい。
「…あ」
名前聞くの忘れた、と一人呟いた。
翌日、少しだけ早めにカフェの前に行くと、もう男性が待っていた。
「すみません、待ちましたか?」
「いいや。たまたま早く着いたんだ」
そして私が来た事についても「おじさんをからかっていた訳じゃないんだね」と笑った。
「今日はご馳走させてください」
「ああ、ありがとう。…今日はハイヒールじゃないんだね」
「…また転んだら困りますし」
「キミみたいな若いお嬢さんはそれくらいが似合うよ」
お嬢さん、と呼ばれ渋面を作る。
「お嬢さんって呼ばれ方好きじゃないんです」
「じゃあキミの名前は?」
「」
「…?」
「何ですか?」
名前を言い返され首を傾げた。あれ、私この人とどこかで会ったっけ?
「…いや、最近知り合った人と同じ名前でね」
「ふうん」
どうやら勘違いだったらしい。肩を竦める男性に今度はこちらが聞いた。
「あなたのお名前は?」
「オー…じゃなかった。…えっと、マイト、と呼んでくれたらありがたいかな」
「マイトさんですね」
私は頷いた。
昨日のカフェの席に着きオーダーをしていると、私の携帯が鳴った。
「あ、ちょっと待ってください」
「電話かい?」
メニューを広げているマイトさんが尋ねてきたがいいえと伝えた。これはメールの着信音だ。
鞄から取り出し見ると、ヒーロー専門ニュースサイトからのメルマガだ。
「これメルマガで…、やだ嘘!」
「どうしたの」
ミネラルウォーターを手に取るマイトさんが、メールを見て興奮する私に聞いてきた。