第3章 蛇喰夢子という女
「えー、先週お伝えした通り、今日は転校生を紹介します」
そうして教室に入って来たのは、艶のある長い黒髪に整った顔立ち、そしてスタイル抜群の美少女だった。
すっごい美人……。
涼子はそんな謎の美少女に見惚れていた。
「皆様初めまして。蛇喰夢子と申します。不束者ですが、同級の仲間に入れてもらえると幸いです」
しかも声も可愛い……!
こんなパーフェクト美少女……、初めて見た……。
クラスの生徒達が夢子に沸き立つ中、先生が咳をして生徒達の興奮を鎮める。
「コホン……、ええっ……と。誰か、蛇喰夢子さんに学園を案内してもらいたいのですが……。……、鈴井さん学級委員でしたよね?お願いできるかしら?」
え……?わっ、私……っ⁈
私なんかで良いのかな……、
『はっ……、はい!』
「鈴井さん、よろしくお願い致しますね」
『よっ、よろしく!……、お願いしますっ』
うぅっ……、蛇喰さんの笑顔が眩しいっ……!
もしかしたらこのまま蛇喰さんにお近づきになれるかもしれない!
ミケになって良かったと思ったの、初めて……!
クラスの生徒達はそんな夢子を歓迎していたが、
それを良く思わない者が1人……。
「(私のミケなのに……!何であんな奴の世話役なんか……)チッ……」
「まぁ、素敵……!此処は素晴らしい学園ですね。転校してきて良かったです」
『……、』
転校してきて良かった……、か……。
蛇喰さんには悪いけど、此処は貴方が言うそんな良い場所じゃない。
ここは……、弱者は堕ちるとこまで堕ちていく。
"弱肉強食"の世界だもの……。
「うーん」
『へっ⁈何……(蛇喰さん近いっ///)』
夢子は涼子が首から下げているミケのタグに興味深々だった。
そんな夢子に耐えられなくなった涼子は思わず後ろを向いた。
『あっ……、あの、蛇喰さん……』
「はい、何でしょう?」
『あのね、"ギャンブル"って……、出来る?』