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The one that got away.

第10章 嘘と真実





「凛!………っクソが」


叫び必死に手を伸ばした。たがそれでも届かなかった。何故なら目の前には救助された人やヒーローたち、もう爆発音の入り交じるあの場所ではない


「お、やっときた!おーい爆豪!!」

「……切島?」


何でテメェが…。そう言い周りを見渡すと今この場にいるヒーローたちはほぼ…というか確実に見知った奴らばかりだ


「そりゃ仲間の一大事だからな!それに…相澤先生が俺らに連絡くれたんだぜ?後悔したくないんなら、元A組全員集合ってな」

「…は?」


どういうことだ?
優秀なはずの脳が混乱を起こす。あの合理的主義者で極度の面倒くさがりの元担任がそんなことを言うなんて信じられない。それに後悔したくないならなんてまるで…


「なあ爆豪、ここにいんだろ瞬木」

「……誰が話した」


未だに地面に膝をつく爆豪の肩に手を置き、何かを悟ったような口振りで切島は言う

だが爆豪はそれどころではない。あの日、凛が消えた時期に相澤が爆豪にだけ教えたこと

爆豪が心に止めていた、凛の秘密、彼女の本当の話


「んな怖い顔すんなって!詳しいことはまだ聞いてねぇんだけど…」


チラリと切島はバツが悪そうに自身の後ろに立つ人物を見た。いや人物というのは相応しくない。切島の後ろには懐かしい面々が大勢いた


「……ッハなんだ、アンタかよ」

「悪いな爆豪」


元々そういう約束だった。


首元の布に顔を埋めていた相澤が爆豪を含めた教え子たちを見つめた。そして彼には珍しく張りつめた雰囲気だ


「今からお前たちに話すことはあの日…6年前の夏休みに瞬木凛の身に起こったことだ。無論、本人からの許可なんてもんは取ってないが……今のお前たちになら話してもいいと俺が判断した」


こんな災害現場で普段ならあり得ない、救助が完了したとはいえヒーローが集まりするべきことではないことは分かっている

だが、それでも聞かなければと誰もが思った


覚悟はいいか。と彼の目が物語っている 


そしてその目を真っ直ぐ見返す面々。相澤はふっと布で隠れた口元に笑みを浮かべた


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